さて、裏門が閉鎖されていたために、二次試験遅刻寸前で間に合った私は、最初の試験に取り掛かるのであった。とにかく受験生の頃は
全体的に必死で
余裕が無かったので、二次試験についての記憶は非常に薄い。二次試験を受けた科目順も覚えていないのだが、試験の印象のようなものは何となく覚えている。
本論には全然関係ないのだが、一人だけ凄い印象に残った人がいたのを覚えている。女性で前髪ぱっつん、サラサラのロングヘアーの、明らかに目立つ人がいた。こんな女性は大阪ではお目にかかったことが無かった。かわいい、というより、変わった人がいるもんだなあ、と思った。二次試験の時にそんな目立つ必要あるのかね、ちょっとビビった。こういう人は余裕で合格するんだろうなぁ、とも思った。後ほど分かったことなのだが、この女性は東京no.1の女子高校、桜陰高校の才媛ということが分かった。若さか。
話を戻そう。今回は数学の話。
東大文系の二次試験は科目数がかなり多く、国語、数学、英語、社会2教科となる。私はどちらかというと、国語と英語が苦手で、いつも私の成績を押し上げてくれたのは、数学と社会であった。東大数学のために、多くの時間を割いた。河合塾では一番上のクラスで学んだ。色々な目新しい問題も解いてきたし、とにかく合格のためには何とか大量得点をゲットしなければならなかった。僕の東大合格は数学に掛かっていると言っても過言ではなかった。そして、
全然解けなかった
いやー、ほんと、全然できなかったなぁ。白旗。
問題は4つしかない。制限時間は100分。
1問だけ明らかに簡単な問題があってそれだけは完答した。しかし、残りの問題は全く歯が立たなかった。部分点もほとんど獲れていないと思う。
何だったらちょっと時間が余った
何も出来なさ過ぎて。大誤算。正直、何となくであるが、河合塾の上位クラスで相当変わった問題も解いてきたので、
1つくらいは同じ問題が出るだろう
くらいに思っていた。本当に甘かった。人生舐めてたわ。東大入試ハードモードよ。見たこともない問題ばかりだった。厳しかった。思い返せば東大模試でも、満足に数学を解けたことなどなかった。私の学力は東大受験レベルに達していなかったのである。あれだけ数学の勉強、頑張ったのになぁ。
補足であるが、後の友人の中に
「数学全部解けたから、俺、合格って確信した」
みたいなことを言っている人もいた。そういう人もいるのである。その人はラサール高校出身だった。
とにかく、数学は出来なかったが、ただ、それほど凹むことは無かった。国語、英語は苦手だといいつつも、めちゃくちゃ勉強したことには変わりはないし、それなりの点数を獲れる可能性はあるはずと思っていた。そして、何より高校3年間、あれだけ頑張って勉強したのだから、自分が合格しないはずがないという根拠の無い自信が、崩れそうな私を土俵際で支えてくれたのである。そして、何より、全力を尽くせればそれでよかった。そう思っていた。
もう二次試験を解くこと以外、頭の中には何もなかった
そういう心境だった。無我の境地だった。
当時解けなった問題は、いつかチャレンジしてみようと思う。そして当時解けた問題も見直したい。今でも解けるだろうか。体積の最大値を求める問題だったとはず。