全ての東大生にとって、最もされて困る質問は「君はどこの大学?」と問われることである。これは間違いない。この問いは非常に悩みが深い。
「東大です」と答えると、何だこいつは、威張ってるのか、と思われる。そう思われるのが嫌なので、全ての東大生は仕方なく、「一応、東大です」と一度は答えるのであるが、これはこれで、何が一応だよ、と嫌われるのである。もはや手詰まり、お手上げ。
「東大です」と答えても駄目で「一応、東大です」と答えても駄目なので、全ての東大生は結局諦めて、「東大です」と、少し食い気味に言うしか無いのである。なぜ食い気味になるのかと言うと、相手に何も考える暇を与えないためである。この領域まで来られれば、もう立派な本物の東大生である一つの証拠と言えよう。
これこそが東大ブランド。
「東京大学物語」という漫画で、主人公の村上君が東京大学に落ちて、早稲田大学で仮面浪人している時に、どこの大学かを聞かれ「一応、早稲田の政経です」と答えるシーンがあったが、あれと似たような心境である。当然、その漫画でも、一応とか言ってんじゃねーよとか突っ込まれていたのであるが、東大周辺には、この手の悩みが尽きない。しかし、これこそが東大ブランドである、日本に深く根付く東大ブランド、わたしが最も欲したものだ。
わたしはこれからも自信を持って言うだろう。
「東大です」と。
「一応、東大です」とは、決して言うまい。
そして、もし周囲に、自信を持って、しかも少し食い気味に「東大です」という人がいれば、その人を「こいつは食い気味で東大です、なんて言いやがって、自信満々な野郎だな、むかつくぜ」とは思わないで欲しい。彼らなりの試行錯誤の上での、少し食い気味の「東大です」なのである。これで精一杯なのだ。
ここまで書いてから、手元のiPhoneで一応、「一応、東大です」と検索してみると、東洋経済オンラインの”東大生がいつも「一応、東大です」と謙遜する訳”という記事が出てきた。さらに”東大生はなぜ「一応、東大です」と言うのか?”というタイトルの本まであるらしい。
何ということだ。わたしが書いた10行ほどの文章が一冊の本になるのか、その本を書いた人の想像力は凄いなぁ、と思う。
ちなみにわたしは、東大です、と答えた後には、だいたい、最低点で合格しました、と付け加えることが多い。これはなぜかというと、本当に最低点で入学した自信があるからである。東大模試も夏はC判定、秋にいたってはD判定、ただしかし、自分は絶対に合格するはず、という自信だけはあった。
でどころが謎の自信ほど怖いものは無いのである。
わたしは実際に合格したのだから。本当にラッキーだった。ラッキーでも何でもいいのである。入れればそれでよかった。ドラゴン桜の桜木先生もいつもそう言っている。入れれば何でもいいのである。入ることが目的なのだから。
こんばんは。
まーくんさんblogのファンの一人です。
最新の投稿、読みました。
面白かったです。そして、妙に納得。
考えたこともありませんでしたが、「一応、東大です。」と、言う方も言われる方も気を遣う部分があるのだと理解しました。
好奇心で、自分も本と関連記事を調べてしまいました(笑)。かなり興味深い内容でした。
これだけで話題になるのだから(しかも、話が深い)、さすが、東大!!
東大(早稲田や慶応でも似たようなことはもちろんあるが、東大の比ではない)生以外はこんなこと、考えないので、こんな気持ちなんて想像する機会はないのであります。
楽しみに見てるのですが、次の記事はまだですか?